映画:小さいおうち(松たか子主演、黒木華がベルリン国際映画祭最優秀女優賞受賞。戦時中を描いた作品です)
今週のお題「映画の夏」
映画:小さいおうち(2013年公開)
とてもいい映画です。映像も綺麗で、映画館で観てよかったと思いました。
第143回の直木賞を受賞した中島京子さんのベストセラー小説を、山田洋次監督が映画化した作品です。
日本の戦時中に、若い女中が住み込みで奉公する、東京の赤い三角屋根の昭和モダンな家の「小さいおうち」に暮らす平井家と、それに関わる人々のことを、その女中が綴った自叙伝が中心になったストーリーです。
キャストは「小さいお家」の女主人の時子を主演の松たか子さん、女中のタキを黒木華さん、時子の夫を片岡孝太郎さん、夫の会社の社員を吉岡秀隆さん、タキの親戚の男の子を妻夫木聡さん、タキの晩年を倍賞千恵子さん・・・と、とても豪華で実力のある方たちです。室井滋さんと中嶋朋子さんも、いい味を出していました。
女中役の黒木華さんは、この映画の演技で第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞されていますが、昭和顔で清楚で真面目な様子がこの役に本当にピッタリで、彼女でなければこの映画は成り立たなかったかもと思わせるほどです。
ただ個人的には、ヒロインの松たか子さんが一番よかったです。とても美しく明るい雰囲気で、キラキラとしていました。彼女がスクリーンに現れると、パッと華やかで明るい光を放って、「わっ綺麗!!」と思いました。戦時中であっても明るく楽しく穏やかに暮らしている家庭の様子を、タキと同様に、松たか子演じる時子を通じてみることができました。洋服も着物もとてもお似合いでした。
脚本もとても素晴らしかったです。
穏やかな暮らしが、吉岡秀隆さん演じる板倉の出現で密かな変化が起き、そこへ戦状が悪化していき・・・
ただひとつ、最後にタキが時子にたいしてとった行動の理由について、納得しきれないというか、理解できないところがありました。
原作は読んでいないのですが、原作のレビューを見ると、その理由がわたしにも納得できるものでした。映画も観返すと、そのように描かれていたと感じるので、最初に映画を観た時に、わたしの理解する力が足りなかったのかなと思います。
この映画で、ヒロインが後悔することになったであろうこと・・・
そして「長く生きすぎてしまった」というタキが、一生にわたり後悔することになったこと・・・
それぞれの立場だったら、自分ならどうしただろうか・・・と考えてしまいます。
おすすめの映画です。