プーシキン美術館展-旅するフランス風景画の感想@東京都美術館!混雑は無し
東京都美術館で開催中のプーシキン美術館展-旅するフランス風景画に行ってきました!!
この企画展で所蔵作品が紹介されている、ロシアのプーシキン美術館に昨年行ったので、その概要と感想も含めてご紹介します。
ロシアのモスクワにあるプーシキン美術館の概要と感想
ロシアのプーシキン美術館展は収蔵品が世界第二位の大規模な美術館
プーシキン美術館は、ロシアのモスクワにある、本館と新館(19~20世紀ヨーロッパ・アメリカ美術ギャラリー「19th and 20th Century European and American Art」)等からなる規模の大きい美術館です。その収蔵品の数は、同じロシアのサンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館に次ぐ世界第二位だと言われています。
The Pushkin State Museum of Fine Arts - Official site
(プーシキン美術館の公式サイトです。リンク先は英語ですが、言語は日本語も選ぶことが出来て、日本語のページも読むことが出来ます。内容は日本語よりも英語のページの方が充実しています)
プーシキン美術館の所蔵作品は特に印象派の作品が素晴らしい!!
ブログに書いていませんでしたが、昨年、モスクワのプーシキン美術館に行ってきました。
本館と新館を日を分けて時間をかけて鑑賞して、特に新館の印象派の絵の収蔵品の数の多さや素晴らしさに感動しました。
来月の6月から開催されるロシアのワールドカップに現地参戦される方は、モスクワを経由される方も多いと思いますので、観光場所の候補にプーシキン美術館を加えてみてはいかがでしょうか。
好みにもよりますが、もし現地での時間があまり無いようでしたら、本館よりも今回のプーシキン美術館展での見どころともなっている、印象派やポスト印象派の作品が多い新館を観た方が良いかなと思います。
プーシキン美術館では、念願のマティスの「金魚」の絵を観ることが出来て、その色使いの美しさに感激しました!!
(今回のプーシキン美術館展ではこの絵の展示はありません)
日本でプーシキン美術館展を開催すると知り、一緒に行った相方には「もうロシアで行ったからいいや」と言われたのですが、日本語のガイドで詳しい解説を聞ける良い機会だし、モスクワに行った時に展示されていなかった作品もあるだろうと思い、自分は上野の東京都美術館の展示を観に行くことにしました。
プーシキン美術館展-旅するフランス風景画@東京都美術館
東京都美術館の企画展はいつも見応えあり!
東京都美術館には、ここ数年は企画展のたびに数カ月に1度は来ています。
絵画等の展示数や、各作品に付けられた解説文や音声ガイドの内容やボリューム等が自分にはちょうど良いので、気に入っている美術館です。
毎回とても満足して鑑賞を終えるので、今回もとても楽しみにして行きました。
東京都美術館の展示室の室温は低めです。
だいたいは防寒のために軽いウールのストールを持っていくのですが、今回は外が蒸し暑かったので油断してしまい持っていかず、展示室内に入って寒さを感じました。数時間、がまんしていてタイヘンでした。自分の場合は東京都美術館では上着は絶対必要!!と思いました。
室温の体感は個人差があると思いますが、寒さが苦手な方はショールやカーディガン等の簡単な羽織ものを持っていくと良いと思います。
<開催概要>
東京都美術館での開催概要は次のとおりです。この後は大阪の国立国際美術館に巡回します。
会期:2018年4月14日(土)~7月8日(日)会場:東京都美術館 企画展示室(東京・上野公園)
開室時間:9:30~17:30 ※金曜は20:00まで ※入室は閉室の30分前まで
休室日:月曜日(ただし、4月30日は開室)
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、
後援:外務省、ロシア連邦大使館、ロシア連邦交流庁(Rossotrudnichestvo)
協賛:大日本印刷、トヨタ自動車、三井物産、パナソニック、みずほ銀行
協力:日本航空
(プーシキン美術館展公式HPより引用)
<構成>
【第一部】風景画の展開 クロード・ロランからバルビゾン派まで
第1章 近代風景画の源流
第2章 自然への賛美
【第二部】印象派以後の風景画
第3章 大都市パリの風景画
第4章 パリ近郊-身近な自然へのまなざし
第5章 南へ-新たな光と風景
第6章 海を渡って/想像の世界
(プーシキン美術館展公式HPより引用)
構成はわかりやすい内容でした。
神話や聖書の背景としてだけ描かれてきた風景が、次第に風景そのものが注目されて「風景画」というジャンルが出来ていき、19世紀半ばの「パリ大改造」で街並みが整えられたパリや、19世紀後半に「鉄道網」が発達したことによって人々がパリ郊外に訪れレジャーを楽しむようになり、画家たちも屋外で使える画材を持ってそこで絵を描き、やがては海を渡ってタヒチのような外国や、想像の世界まで旅をした画家達が巡った、美しい光と色彩に彩られた風景画の紹介でした。
全体的に、色が綺麗で明るめの風景画が多く、今の季節の清々しさとも重なって、とても気持ちの良い展覧会でした。
<音声ガイドは、水谷豊さんと、上坂すみれさん>
音声ガイドのナビゲーターは、「旅の案内人」がスペシャルサポーターの俳優・水谷豊さんで、「コラム解説」が公式サポーターの声優・上坂すみれさんでした。
水谷さんのナレーションは落ち着いた感じでした。最後に「音声ガイドのセットをちゃんと戻してね、そんなの分かってるかな」というような内容の、茶目っ気をみせる部分もありました。
上坂すみれさんは、さすがに声優さんだけあって聴き取りやすい声でした。ロシアには何度も訪れているとのことです。
個人的に意外だったのはルノワールの《庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰》に音声ガイドが付いていなかったことです。この絵のことについてもう少し詳しく知りたかったな~と思いました。
日傘を持って立っているのが、ルノワールが気に入っていたという二二というモデルで、その後ろに座っている男性がモネとのことです。
ルノワールらしい、とても優しくて明るい雰囲気の絵で好みでした。
<混雑具合>
自分は5月の週末に行きました。思ったほどは混雑は無く、ぎゅうぎゅうで絵の正面には全然行けないということはありませんでした。
この美術館にリピートしている経験からは、お昼の時間帯は少し人が少なくなるように感じています。
<心に残った作品の感想>
なんといってもモネの《草上の昼食》が素晴らしかった!!
今回の企画展のチケットにも使われている、モネの《草上の昼食》が秀逸でした!!
上の写真はレプリカです。
(字が入っているのでわかるかと思いますが念のため・・)
実物は右側にもっと絵が続きます。
サロン(官展)に大作を発表するための習作として描き始められ、結果として大作の方の絵画はクールベに批判されたり、モネ自身が分断したりして(分断された絵は、パリのオルセー美術館所蔵とのことです)、サロンで発表されることはなく、今回展示されている習作の方の絵は、サインと年記があることから完成品と見なされているそうです。
木漏れ日の様子や樹々の葉のタッチがとても美しかったです。
後に印象派の画家達の重要なテーマとなる、「自然の光の中の風景」の出発点とも言える絵だそうです。
モネはこの絵の製作にあたり、マネの《水浴》の影響を受けているそうです。
(マネの《水浴》。後に《草上の昼食》。この絵は今回の企画展の展示はありません)
モネが1866年に《草上の昼食》を描いた一年後の1867年に、マネがそれを意識して原題が《水浴》だったこの絵を《草上の昼食》に改題したとのことです。なんだかすごいですね。。
モネの《陽だまりのライラック》と《白い睡蓮》も良かったです!!
モネの作品は《草上の昼食》の他にも3つの作品の展示があり、《陽だまりのライラック》と《白い睡蓮》が好きなタイプの絵でした。
《陽だまりのライラック》は、薄く明るいピンク色のライラックの花が咲く木の下で、二人の女性が踊るような木漏れ日を受けながらくつろいでいる美しい絵でした。
《白い睡蓮》は、モネのジヴェルニーの水の庭で描かれた睡蓮の絵のシリーズの中でも、最初期の作品とのことでした。
(昨年、自分がプーシキン美術館で撮影したオリジナルの絵の写真です。東京都美術館は実物の撮影不可でした。)
自分が観てきたモネの睡蓮の絵の中でも、光がとても明るい絵だなと思いました。
モネの若さも表れていたのでしょうか。
ルソーは熱帯地域に一度も行かずに熱帯の絵を描いていた!!
今回のプーシキン美術館展で初めて知って驚いたのは、アンリ・ルソーは自己流で絵を描いていた日曜画家だったということです。
しかもこの絵《馬を襲うジャガー》は、定年後に近所の植物園に通って植物を観察した成果で、イメージで描かれたものだということでした。
(東京都美術館で、写真を撮る用に設置されたセットなので、絵がアレンジされています)
アンリ・ルソーと言えば熱帯の植物と動物の絵と思っていたので、それらが熱帯に赴くことなく描かれたものと知って本当にビックリでした。
でも個人的になんとなく希望が持てるエピソードでもあり、自分も定年したら絵を・・と少し気持ちが躍りました。
<プーシキン美術館展の会期は7月8日(日)まで!!>
東京都美術館でのプーシキン美術館展の会期は7月8日(日)までです。
東京都美術館の次の企画展は、7月31日から10月8日まで、没後50周年の「藤田嗣治展」です。レオナール・フジタですね。
<美術館・絵画・アートについての情報があります>
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